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京都市西京区京都大学桂

京都大学大学院工学研究科

物質エネルギー化学専攻

触媒有機化学分野

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二酸化炭素を炭素源とする触媒的分子変換反応の開発

炭化水素の最終形態である二酸化炭素を再度有機資源へと再生する二酸化炭素の化学的固定化技術の開発は,二酸化炭素の排出削減や隔離技術の開発と並び,今後の人類社会の発展に大きく寄与する重要な研究課題の1つです.我々は,合成化学的見地からの有用なアプローチの1つが遷移金属錯体分子を利用し二酸化炭素の活性化と炭素−炭素結合形成を経由しカルボン酸誘導体を得る反応の開発にあると考え,これを実現する新規触媒反応の開発に取り組んでいます.Angew. Chem. Int. Ed., 50, 523-527 (2011),J. Am. Chem. Soc., 134, 9106-9109 (2012).

配位周辺部の修飾による新しい遷移金属触媒の開発

3つのメタテルフェニル基をもつ半球型ホスフィン(BSP)を用いる銅触媒が,かさ高いケトンのヒドロシリル化反応に有効であることを見出した.この反応では,アルデヒドが共存しても,かさ高いケトンが優先的に還元されるという特異な性質が発現しました.Angew. Chem. Int. Ed., 49, 1472-1476 (2010).

分子周辺部に長鎖親水基(テトラエチレングリコール鎖)を導入したデンドリマーホスフィンを開発しました.パラジウムを触媒とする鈴木−宮浦カップリング反応に適用したところ,通常は活性化が困難な塩化アリールが基質として適用可能であることが分かりました.我々は,この機能の発現には多数のテトラエチレングリコール鎖が分子周辺部に保持されていることが重要であると考えています.Angew. Chem. Int. Ed., 47, 8310-8314 (2008).

長鎖親水基(テトラエチレングリコール鎖)と長鎖疎水基(C12アルキル鎖)を導入した含窒素複素環カルベン(NHC)を開発し、これをパラジウムを触媒とする鈴木−宮浦カップリング反応に適用しました.その結果,長鎖親水基を組み込んだ触媒が極めて効果的に機能することが分かりました.Dalton Trans., 379-385 (2008).

炭素−炭素多重結合への官能基付加反応

出発物質の重量が生成物の重量と等しく,無駄となる原子が全く排出されない反応,即ち原子効率の高い反応は,理想的な化学プロセスとなります.我々は,自然界に広範に存在する重要な化合物群であるカルボニル化合物に着目し,遷移金属触媒を用いてカルボニル化合物を炭素−炭素多重結合への付加反応を標的とした研究を展開しています.この反応では,炭素−炭素結合形成を伴いつつカルボニル基を導入することができ,高い原子効率を達成すると共に合成経路の大幅な短縮が実現できます.J. Am. Chem. Soc., 134, 1268-1274 (2012),Adv. Synth. Catal., 343, 457-482(2011),J. Am. Chem. Soc., 132, 2094-2098 (2010).

過去の研究

酸化還元活性な配位子を有するルテニウム錯体の合成と酸化還元挙動の解明

分子科学研究所 錯体化学実験施設(田中晃二 教授)

2電子の授受が可能なジオキソレン配位子を有するルテニウム錯体の合成と酸化還元挙動について検討しました. ジオキソレン配位子上の置換基効果が,ルテニウム錯体の酸化還元に直接影響することを分光学的手法ならびに 電気化学的手法により明らかににしました.また,ルテニウム上のジオキソレン配位子とカルボニル配位子には 強い相互作用があることを,溶液内電解IR測定により明らかにしました.また,ジオキソレン配位子とルテニ ウムとの結合距離が,ルテニウムの酸化状態で変化することを,X線構造解析から明らかにしました. Inorg. Chem., 45, 8887-8894 (2006), Bull. Chem. Soc. Jpn., 77,741-749 (2004),Chem. Lett., 35,1562-1563 (2005).

酸化還元活性な1,10-phenanthroline-5,6,-dione配位子を有するルテニウム錯体の酸化還元挙動について検討 しました.配位子由来の酸化還元ピークは,溶液内に存在する金属イオンによって大きくシフトすることが 分かりました.これを利用し,複核錯体の合成へと展開しました.また,ルテニウム上にアクア配位子を 導入した錯体を合成し,溶液中のpHとルテニウム上の酸化還元の相関についても検討しました.Dalton Trans., 3221-3226 (2003),Dalton Trans., 3221-3226 (2003).

モリブデンポルフィリン錯体の合成と化学的性質

北海道大学大学院理学研究科 化学専攻(佐々木陽一 教授,今村 平 助教授)

酸素と可逆的に反応するオキソモリブデンポルフィリン錯体の合成,構造解析ならびに酸化還元挙動について 検討しました.酸素と反応して得られた錯体の結晶構造を明らかにしました.また,2次元NMRの手法を 用いて溶液中での構造も検討し,結晶構造で観測された環のひずみが溶液内でも保持されていることを 明らかにしました.また,酸素の脱離を伴う特徴的な酸化還元挙動についても明らかにしました. Chem. Lett., 102-103 (2000),Chem. Lett., 178-179 (2001)

アントラセンで架橋したポルフィリン2量体を配位子とするモリブデン錯体の合成,構造解析ならびに 酸化還元挙動について検討しました.2つの環の一方にのみモリブデンを有する錯体の合成に成功し, 他方に亜鉛を導入した異種金属2核ポルフィリン錯体を単離しました.X線構造解析の結果,モリブデン上の メトキソ配位子と亜鉛に配位するメタノールが,立体的に込み入った2枚のポルフィリン環に挟み込まれて いることが分かりました. Inorg. Chem., 41, 1170-1176 (2002).

バルキーな光学活性配位子を有する5配位金属錯体の合成と旋光性

静岡大学 理学部化学科(宇津野峻司 教授)

光学活な新規3座配位子の合成とそれらを有する遷移金属錯体を合成しました.