Tsuji Laboratory

Department of Energy and Hydrocarbon Chemistry, Graduate School of Engineering, Kyoto University

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  Research Interest  
 

高効率・高選択的な多成分連結反応の開発

遷移金属を用いる均一系分子触媒反応は,有用な化学物質を生産する上で欠かせないプロセスです.いくつかの反応はすでに工業化され,医薬品などの精密化学物質の合成などにも応用されています.我々の研究室では,既存の変換反応を凌駕する触媒反応系の開発や,物質変換や新物質開発の基本となるような新反応の開拓を目指します.炭素−炭素結合を形成する反応や炭素−水素切断反応を鍵とする反応を核として,入手容易で安価な化合物から有用で高価な化合物を作り出す反応の開発に挑戦しています.


                     
最近の研究成果

銅触媒を用いたホウ素官能基の導入を伴うアリル−アリルカップリング反応の開発

Angew. Chem. Int. Ed., 53, 9007-9011 (2014).

            

銅触媒を用いて、ホウ素官能基の導入を伴うアリル−アリルカップリング反応を達成しました。この反応では、ボリル銅化学種とアレンとの反応により得られるアリル銅と、リン酸エステルを脱離基とするアリル求電子剤が反応することにより、さまざまな構造をもつ1,5-ジエン類が効率よく得られます。

パラジウム触媒を用いたアレンの形式的なアリールアシル化反応の開発

Chem. Commun., 50, 8476-8479 (2014).

            

パラジウム触媒を用いて、酸塩化物、アレン、アリールボロン酸との3成分反応を実現しました。この反応は、酸塩化物とアリールボロン酸を用いたアレンの形式的なアリールアシル化反応となります。様々な基質の組み合わせで反応は進行し、共役ケトン類を良好な収率で与えます。

パラジウム触媒を用いるカルボン酸からのアルデヒド合成

Adv. Synth. Catal., 355, 3420-3424 (2013).

            

パラジウム触媒と還元剤としてヒドロシランを用いることにより、カルボン酸から直接アルデヒドを合成する効率的な反応を見出しました。様々な構造を持つカルボン酸から対応するアルデヒドが良好な収率で得られます。この反応では、添加剤として用いるピバル酸無水物と基質であるカルボン酸とから混合酸無水物が系中で発生することが鍵となっています。

パラジウム触媒を用いたアレンの形式的なヒドロアシル化反応の開発

Org. Lett., 15, 2286-2289 (2013)

            

パラジウム触媒存在下、酸塩化物とヒドロシランを用いることによりアレンの形式的なヒドロアシル化を達成しました。様々な基質の組み合わせで反応は進行し、共役ケトン類を良好な収率で与えます。。

銅触媒を用いる2-ボリル-1,3-ブタジエン類の合成

Angew. Chem. Int. Ed., 52, 12400-12403 (2013).

            

α位に脱離基を有するアレンを基質として用いてジボロンと銅触媒を作用させると、触媒的なボリル銅の付加と続く脱離反応により、2-ボリル-1,3-ブタジエン類が効率良く得られることを見出しました。

銅触媒を用いるアレンのヒドロホウ素化反応の開発

Chem. Eur. J., 19, 7125-7132 (2013).

            

銅触媒存在下、ジボロンとアルコールを用いることにより、アレンのヒドロホウ素化反応が進行することを見出しました。この反応は用いる配位子によって生成物を作り分けることができます。

イリジウム触媒を用いた脂肪族酸塩化物のアルキンへの付加反応

J. Am. Chem. Soc., 134, 1268-1274 (2012).

            

イリジウム触媒を用いる酸塩化物の末端アルキンへの付加反応において、適切な配位子を用いることにより脂肪族酸塩化物を基質とする反応が効率良く進行することを見出しました。通常、脂肪族酸塩化物を基質とする反応においては、脱カルボニル反応とこれに続くベータ水素脱離反応という副反応が優先的に進行することが知られています。イリジウム触媒とPCy2(o-Tol)というホスフィンを用いた時、これら副反応はほとんど進行せず、目的とする付加反応が効率良く進行します。

パラジウム触媒を用いるアルキンのヒドロエステル化反応

Adv. Synth. Catal.132, 475-482 (2011).

            

パラジウム触媒を用いることにより、芳香族ギ酸エステルを基質としたアルキンのヒドロエステル化反応が高効率・高立体選択的に進行することを見出しました。様々な内部アルキンおよび末端アルキンののヒドロエステル化反応が進行します。反応の経時変化を追跡した結果、芳香族ギ酸エステルがパラジウム触媒により一酸化炭素とフェノールに効率良く分解し、続いてアルキンのヒドロエステル化が進行することを突き止めました。

イリジウム触媒を用いた塩化カルバモイルとアルキンからの2−キノロン合成

J. Am. Chem. Soc., 132, 9602-9603 (2010).

      

イリジウム触媒を用いることにより、塩化カルバモイルと内部アルキンから2−キノロン誘導体の合成に成功しました。この反応には塩化カルバモイルと内部アルキンの組み合わせることで、様々な2−キノロン誘導体を合成することが可能です。鍵中間体となるイリジウム錯体の単離、構造解析にも成功しました。

パラジウム触媒を用いたホルムアミドのアルキンへの付加反応

J. Am. Chem. Soc., 132, 2094-2098 (2010).

   

   

パラジウム触媒および添加剤として酸塩化物を用いることでホルムアミド類のアルキンへの付加反応が効率良く進行し、E体選択的に目的の付加生成物が得られることを見出しました。末端アルキンを用いたホルムアミド類の付加反応は本反応が初めての例です。本系において配位子の選択は重要であり、Xantphos以外のリン配位子では付加生成物はほとんど得られませんでした。

イリジウム触媒を用いた酸塩化物のアルキンへの付加反応

J. Am. Chem. Soc., 131, 6668-6669 (2009).

   

   

芳香族酸塩化物の末端アルキンへの付加反応において、配位子として含窒素複素環カルベン(IPr)を有するイリジウム錯体を用いたときに、高収率かつ高立体選択的に反応が進行することを見出しました(式1)。一方、リン配位子(RuPhos)を用いると一酸化炭素を伴う付加反応が効率良く進行することも分かりました(式2)。前者の反応は2,5-二置換フラン誘導体の合成に応用することもできました。

イリジウム触媒を用いた脱カルボニル化反応の開発

Chem. Commun., 6215-6217 (2008).

   

   

イリジウム触媒を用いたアルデヒドの脱カルボニル化反応を行い、従来のロジウム触媒系よりも穏和な条件で進行することが分かりました。本系は入手容易な[IrCl(cod)]2と一般的なリン配位子であるPPh3の組み合わせで、空気下においても様々な官能基を有するアルデヒドに有効であることを見出しました。

 

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