Tsuji Laboratory

Department of Energy and Hydrocarbon Chemistry, Graduate School of Engineering, Kyoto University

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  Research Interest  
 

二酸化炭素を炭素源とする触媒的有機合成反応の開発

炭化水素の最終形態である二酸化炭素を再度有機資源へと再生する二酸化炭素の化学的固定化技術の開発は,二酸化炭素の排出削減や隔離技術の開発と並び,今後の人類社会の発展に大きく寄与する重要な研究課題の1つです.我々は,合成化学的見地からの有用なアプローチの1つが遷移金属錯体分子を利用し二酸化炭素の活性化と炭素−炭素結合形成を経由しカルボン酸誘導体を得る反応の開発にあると考え,これを実現する新規触媒反応の開発に取り組んでいます.


                     
最近の研究成果

銅触媒を用いるアレンのシラカルボキシル化反応

J. Am. Chem. Soc. 136, 17706-17709 (2014).

            

アレンを基質とするシラカルボキシル化反応を、銅触媒を用いて達成しました。この研究では、アリルシラン構造を有するカルボン酸とビニルシラン構造をもつカルボン酸を 適切な配位子を用いることにより完全に作り分けることに成功しました。

ニッケル触媒を用いるアルキンのダブルカルボキシル化反応

Org. Lett., 16, 4960-4963 (2014)..

            

ニッケル触媒を用いて、アルキンに2分子の二酸化炭素が導入されるダブルカルボキシル化反応を達成しました。この反応は、還元剤として亜鉛粉末、添加剤として臭化マグネシウムを用いることにより、常温・常圧の温和な条件で進行します。

コバルト触媒を用いるプロパルギルエステルのカルボキシル化反応

Angew. Chem. Int. Ed.50, 523-527 (2011).

            

コバルト触媒と還元剤としてマンガン粉末を用いることにより、プロパルギルエステルの炭素−酸素結合をの切断を伴うカルボキシル化反応が進行し、対応するカルボン酸が得られることを見出しました。

銅触媒を用いるアルキンのシラカルボキシル化反応

Angew. Chem. Int. Ed., 51, 11487-11490 (2012).

            

銅錯体触媒存在下,アルキンとシリルボランを1気圧の二酸化炭素雰囲気下反応させると,ケイ素官能基の導入を伴うカルボキシル化反応が進行し、生成物とししてシララクトンが得られることを見出しました。

ニッケル触媒を用いる塩化アリール類のカルボキシル化反応

J. Am. Chem. Soc., 134, 9106-9109 (2012).

            

ニッケル触媒とマンガン粉末を還元剤として用いることにより、入手は容易であるものの反応性に乏しい塩化アリール類の二酸化炭素を用いるカルボキシル化反応の開発に成功しました。この反応は、常温、常圧の二酸化炭素雰囲気下という極めて温和な条件で効率よく進行します。ニッケル錯体を用いた化学量論反応を検討した結果、反応性の高い1価のニッケル化学種の生成が本反応の鍵であることを突き止めています。

銅触媒を用いるアルキンのヒドロカルボキシル化反応

Angew. Chem. Int. Ed.50, 523-527 (2011).

            

含窒素複素環カルベン(NHC)が配位した1価のフッ化銅錯体存在下,アルキンとヒドロシランを1気圧の二酸化炭素雰囲気下反応させると,対応するa,b-不飽和カルボン酸が高収率で得られることを見出した。これまでのヒドロカルボキシル化反応では取り扱いに注意を要する有機金属試薬を還元剤として用いる必要がありました。本反応系は,ヒドロシランのように取り扱いが容易であり,かつ直接的な還元剤を用いた還元的なカルボキシル化の初めての例です。

 

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Department of Energy and Hydrocarbon Chemistry, Graduate School of Engineering, Kyoto University